■「ワインづくりは農業」である

「日本でも世界に通用するワインができる」・・・
『第9回 ヴィナリーインターナショナル』での銀賞受賞は、当ワイナリーの醸造技術面における確かな手ごたえを感じました。しかし、技術の力だけでは限界があります。原料のよしあしがワインの出来に大きく関わってくるのです。ワインの品質とはすなわち、ブドウの品質。つまり、“良いワインづくり”は、よいブドウづくりなのです。
■日本のワインが不評だった理由
しかし、生食で食べるブドウ栽培の歴史が長い勝沼町では、ワイン原料となる甲州ブドウは生食用としては出荷できないものが多く占めています。このような原料からよいワイン造りができるかどうかというと、そうではない。ヨーロッパなどを見ると、ワイン用に一粒一粒の糖度を高めるよう、垣根仕立ての栽培方法が一般的ですが、日本では1本の木から多数の果実が収穫できる棚栽培が中心となっています。このように、ワイン用原料栽培に対する意識が、根本的に違うため、「日本のワインは水っぽい」などといわれ、「日本のワインはおいしくない」という一般的な認識も生まれてしまったのだと考えます。
■ワイナリー自ら農業を行う

「ワインづくりは農業。よい原料の供給を」の声に、最近は一部の農家の方も協力をしてくれるようになりました。今、特定農家の畑で栽培されたブドウの可能性に着目し、限定ワインの生産にも取り掛かることができるようになりました。しかし、まだ醸造品質を満たすブドウの量が足りない・・・。
だから我々ワイナリーが自らブドウ作りをするしかない。今まで、「農地法第3条」で農業生産法人以外が農地を取得することが禁じられていました。つまり、我々のようなワイナリーは農地をもち、ブドウ栽培をすることができなかったのですが、2003年4月21日に、山梨県の「ワイン産業振興特区」が国の認定を受けたことで、状況も変わってきました。当勝沼町をはじめ、塩山市、山梨市など15市町村全域が特区に指定され、ワイナリーが農地を借り受けブドウ栽培を行うことができるようになったのです。
■農業の担い手として、ワイナリーの使命

ワイナリーが農地を取得できるのは、農地の遊休化が深刻な地域。日本では、同様に遊休化が深刻な地域が多数存在します。今、農業の世界で必要なのは「夢があること」ではないかと考えます。
我々ワイナリーの使命としては、日本の風土や個性、特徴を生かしたブドウつくりを通じて、ワインの付加価値を高めること。そして、世界に通用する、感動を与える1本を作ることです。
現在、当社では土地を新たに借り受け、シャルドネやメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンといった品種を植え、糖度を高める栽培方法を研究しています。今後は、原料の生産、醸造、販売までを一環して手がけ、「感動を与える1本」をみなさまにお届けしていきたいと思っております。
(ワイナリーオーナー・有賀雄二)